「自動車リサイクル法」が生まれ、2004年末ごろの実施に向けて法整備が進んでいる。
メーカーの責任で自動車ごみをリサイクルさせるため、使用者はリサイクル経費を上乗せした値段で車を買う。前払い制度の導入は注目されるが、直接製造者が処理量を支払う「外部費用の内部化」までは踏み込んでいないので、はたしてメーカーが「処理しやすい製品」をつくろうとするのだろうかと疑問視する向きもある。

いずれにせよ、便利さだけが売りだった車の世界でも、環境負荷低減や後始末を考えざるをえなくなったのだ。豊かさの象徴として戦後の家庭にどんどん送り込まれた電気機器類のうち、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビの「家電4品目」は、もはや生活必需品だといってよい。
2000年時点で家電4品目の出荷台数は2600万台にのぼり、テレビやエアコンは一家に2台以上も珍しくない。また使用年数も、耐用年数というよりむしろ上位品目への買い換えで決まるため、10年もたたないうちに廃棄するケースが目立つ。
以前は自治体が処理する粗大ごみだったが、量は多いし大型だから、収集も処理も大きな負担になっていた。そこで2001年に「家電リサイクル法」が生まれ、家電4品目を自治体の処理とは別ルートで回収し、メーカーの責任でリサイクルすることになった。
ただし一台あたりのリサイクル経費2400円(洗濯機)〜4600円(冷蔵庫)は、排出者が負担する。メーカーにしても、自分たちがつくった製品を解体・リサイクルするなど考えてもみなかっただけに、かなり苦労をすることになった。
法律で決めた製品ごとのリサイクル串は、鉄と非鉄金属の回収しか考えておらず、プラスチック分はたいてい捨てるため、自動車と同様、プラスチックくずが問題になる。「生還率が低いなあ〜」ちなみに2000年度の廃家電回収率は、4品目の合計で発生量1800万台に対しほぼ200万台と、約60%だった。
残りの40%はどこに行ったのか。また家電リサイクル法は、鉛など有害物質を適正に回収するよう求めているが、家電製品は鉛以外の有害物質も含むため、リサイクル過程でそうした物質がどうなるのかも気にかかる。
パソコンと携帯電話はIT革命の申し子だ。1994年から2000年にかけての出荷量は、パソコンが3.8倍、携帯電話が15.3倍と驚異の伸びを見せた。
いまパソコンは家庭の普及率も57%(2軒に1台)となり、今後は廃棄量も急増するだろう。宅配便で送りつけるリサイクルの仕組みはできたが、一台あたりノート型で2000円、デスクトップ型では7000円を排出者が負担することになる。

この仕組みがどれほど機能するか注目したい。かたやPHSも含む携帯電話は、いまや国民の2人に1台の割合、年産量が6400万台、廃棄台数が5400万台にものぼる。
携帯電話には多様な金属を使っている。有用な金属のほか、鉛やベリリウムのように有害な重金属も含むので、廃棄やリサイクルをするときの環境汚染も心配だ。
現在、業界は自主的に年に1300万台ほど回収しているというけれど、これは廃棄台数に対し回収率は24%程度にすぎない。なにしろ小さい機器だから大部分はごみに出しているのだろう。
こうした情報機器は今後ますます普及する。ウィルスに立ち向かう情報セキュリティだけでなく、有害物質の生む環境汚染セキュリティも考えなくてはいけない。
いままで見てきた廃棄物には、それぞれリサイクル法などもでき、社会として対応の始まったものが多い。「家庭系有害廃棄物」は、まだほとんど対応がとられていない。
乾電池私か電池のごみ問題にとり組むことになったきっかけは、1983年に受けた『K』85号の取材だった。同誌は「乾電池には水銀がいっぱい」という見出しで特集を企画していた。
ごみ処理のときに出る有害物質には興味を持っていたため、さっそく実験で市販の電池を調べることにした。空き缶問題のときもそうだったが、なにしろ対象物について統計データが乏しい時期だったから、情報整理にかなり精力を使った覚えがある。
そのころ水銀は、水俣病の原因物質(メチル水銀)にからんで話題になっていただけに、廃棄物関係者だけでなく一般国民も水銀に関心を寄せていた。いま私たちはどれだけ乾電池を消費しているのだろう?生産量と水銀使用量の推移が、その状況を教えてくれる。

1980年ごろ、マンガン電池に代わる長寿命のアルカリ電池が現れ、消費量がどんどん増えた。そのアルカリ電池がマンガン電池の300倍も水銀を使っているとわかって、大きな問題になった。
電池業界は当時、乾電池の中で水銀はみなアマルガム(亜鉛との合金)になっているから安定で、環境には出ない、という論陣を張っていた。しかし私は、使用前の電池と使用ずみ電池では水銀の溶け出す量が100倍もちがう事実を実験でつきとめ、使用ずみ電池こそが問題なのだと警鐘を鳴らした。
乾電池を焼却したとき、水銀が蒸気になって大気に出る問題なども明るみに出たため、電池メーカーも水銀使用量を減らそうと技術開発を始めた。そしていま、日本のアルカリ電池は水銀ゼロになっている。
まさにクリーンテクノロジーの成果だといえよう。このようないきさつを、水銀使用量の激減がよく伝えてくれる。
だがこれで乾電池の環境問題はすっかり消えたわけではない。ひとつは、乾電池に欠かせない亜鉛やマンガンの資源問題である。
どちらの金属もできるだけリサイクルするのがよい。とくに亜鉛は、生態系への悪影響も問題視されてきたから、ごみには出さず、資源化ルートに乗せるべきだろう。
そのほか、エネルギー利用効率の悪さがある。乾電池の出すエネルギーは、製造エネルギーの1%にも届かない。

火力発電のエネルギー効率(37%以上)に比べてずっと低いのだ。コードレス機器用に便利な乾電池も、省エネルギーが求められている現在、このまま使い続けてよい製品だとは思いにくい。
蓄電池(2次電池)は乾電池(1次電池)よりエネルギー利用率が高いけれど、やはり有害物質を使っているところに問題を抱える。蓄電池といえばその代表の自動車用バッテリーは、鉛の塊といってもよい。
かつてバッテリーは100%近くリサイクルされ、リサイクルの優等生といわれるほどだった。けれども最近、回収した鉛の価格低迷に加え、メンテナンスフリーのハイブリッド型バッテリーができ、それに使う鉛合金が再生鉛の品質を落とす。
そのため従来のリサイクル市場がうまく回らず、バッテリーを回収せずに放置する例が増えてきた。バッテリーは一個あたりの鉛が多いため、たとえ少量でも環境汚染の恐れはたいへん大きい。
バイクなどの鉛バッテリーや、コードレスの大工道具や電気機器に使うシールドバッテリーも、ごみの中の鉛をだいぶ増やしているだろう。鉛を使わない蓄電池も増えてきた。
けれども電池のカドミウムは毒性が高いし、携帯電話などにずいぶん使い始めたリチウムイオン電池のリチウムも、扱いを誤れば爆発しかねない。また、充電式電池は機器内に内蔵されていて、取り外しのむずかしいものもあり、その機器が捨てられると電池もいっしょに捨てられてしまうという問題もある。


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